大腸がんの腹腔鏡手術

腹腔鏡(下)手術について

腹腔鏡手術(腹腔鏡下手術)とは、腹部を数cm切開して小さい孔を4~5か所程度作り、腹腔鏡というカメラや鉗子などの手術器具をその孔から挿入し、モニターを通して手術範囲を見ながら行われる外科手術です。

肛門から内視鏡(ファイバースコープ)を挿入して行う内視鏡手術とは全く異なる手術です。

腹腔鏡手術では、腹部を見やすくするために腹腔内に炭酸ガスを入れて腹部を膨らませて手術を行います。この操作のために全身麻酔が必要な手術です。
 
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腹腔鏡手術のメリット

腹腔鏡手術には主に次のようなメリットがあるとされており、日本でも徐々に増えつつある手術方法です。
 

傷が小さいの負担が少なく、回復が早い

開腹手術では一般的に20cm程度の切開が必要となる場合が多いですが、腹腔鏡下手術では3~5cm程度の傷で済みます。

このために手術時間(麻酔時間)も開腹手術より短縮することが可能です。

傷が小さいので痛みが少なく、術後の体力回復が早いのがメリットだとされています。

入院期間は開腹手術よりも短く済み、社会復帰も早いとされており、手術後の傷も目立ちにくいです。
 

手術後の食事開始が早く、腸閉塞のリスクが低い

手術時間や麻酔時間が短く済み、手術後の歩行や体力の回復が早いと腸蠕動の回復も早いとされています。

腸の動きが早く回復した分だけ、早く食事を再開することが可能になります。

大腸がんの手術では、腸閉塞は最も注意したい重大な合併症の一つです。腸蠕動が早く回復すれば、それだけ腸閉塞のリスクが軽減されると考えられます。
 

腹腔鏡手術のデメリット

腹腔鏡下手術は、開腹手術と比べて手術時の視野が狭くなります。

大腸がんの手術では、時に広いリンパ節郭清を必要とする場合があるため、十分な手術時の視野が確保できない場合があります。

大腸がん,腹腔鏡手術また、腹腔鏡手術後の再発や転移といったリスクについては、十分に検証されていない部分も多々あります。

手術視野が狭くなるため、あまりに複雑な手技を求められる手術には適していないとされ、特に直腸がんでは骨盤内に多くの臓器や神経・筋肉が集中しているため、腹腔鏡手術では困難な場合も少なくありません。

このようなことから、結腸がんと比べて直腸がんでは腹腔鏡手術の適応となるケースは多いとは言えません。

腹腔鏡手術では、独特な技術が求められるので、腹腔鏡手術の成否はどうしても術者の技術に負うところがあることが言えます。

腹腔鏡手術では炭酸ガスを注入するという操作上の理由により、全身麻酔を受けられない方は基本的に腹腔鏡下手術を受けることはできません。
 

腹腔鏡下手術の適応

術式から見て適応されやすいのは、結腸がんの手術と直腸がんの前方切除術などです。

さらに手術範囲や切除範囲、患者さんの全身状態や全身麻酔を受けられるかなどで適応が判断されます。

また、医療機関によっては実施できる医師がいない場合もありますし、術者の技術によっても適応が異なる場合もあります。
 

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